2005年5月25日
本の値段はなぜ高い? >>経営等探究
2005.05.15 テレ東 ビジネス維新:本の値段はなぜ高い?を見て。
先週に引き続きブックオフ社長をゲストとして呼んで本業界についてのトーク。
本の値段がなぜ高いか、また、どうすべきかの提言が無く、ブックオフが一人勝ちしていることのみが挙げられており、少々不満が残る。(まあ、ビジネス維新という番組なので、仕方がないかもしれないが)
ブックオフでの買取販売の仕組みは基本的に以下のような仕組みだそうだ。
・買値:一律で定価の1割
・売値:定価の半額+50円
¥500 = ¥50で買取
¥500 * 0.5 + 50 = ¥300 で販売
売れなければ¥100コーナーに回る
新刊ですぐ中古が300円で出てしまうことで、出版社にとっては痛手であると言われていること、そのおかげで、本屋の倒産が相次いでいる、ということ、また、出てすぐの本なのに¥50円での買取値でいいのか?というようなことについては言及があった。
しかし、何も触れられていなかったが、中古業界は関わる経費を一切払っていない。※本だけではなくソフトウェア業界においても揉めている。
尚、本屋の倒産が相次いでいる、ということは「デジタル万引き」という言葉が流行った頃には、デジタル万引きによる影響も大きいと言われていた。しかし、言葉としての流行が終わった現在、何も取り挙げられていない。各放送局ごとでの罪の意識度調査結果は異なり、9割が罪を感じているとした局や、逆に9割近くが罪を感じていないと感じているとした局があった。制度が変わったということは耳にしていないのだが、現状はどうなのだろうか。
さて。出版物が小売(店)へ流れるのは以下のようになります。
出版->流通->書店
で、出版から流通に卸す価格は6掛けぐらい。(書店への卸価格は不明)
更には委託という制度がある。
流通が「これだけ書店に並べてくれ」という依頼を出すとその分だけ流通に差し出します。
どの本屋にばらまくかは流通が勝手に決める。
委託中は本の返品は自由で、売れた額しか回収できません。店に並べられたものは返品・廃棄されるため、その分の経費は出版社が持たねばなりません。
委託での売上は委託が終わった際にきちんと入金されるため、出版はその分の負担も強いられる。(実際の売上計上、入金の仕組みはもっと複雑です)
直の書店からの注文を大々的にやろうとすると、流通側から「店にもう置かない」という警告があったりする。トーハン、日販が2大巨頭で、専用の本注文システムさえも持っている。
本の流通データベースでは出版VANといわれるしくみ(日本書籍出版協会)もあるが、やはりこの2大巨頭の意向が強く反映されているのが実情。
尚、amazon.co.jpは大阪屋経由で仕入れを行っている模様。
(私の知っているとある出版社ではそうなっている)
ちなみに、ソフトウェアは店卸が定価の6掛ぐらいなので、本よりももっと製作側の負担は大きい。
ソフトウェアの価格が高いということが取り立たされることは少ないように思えるが、流通が一人勝ちしている現状をきっちりと取り上げていただきたい。
但し、ソフトウェアの場合には委託という扱いは私が仕入れを担当していた時代にはなかった。(掛け率も現状は異なるかもしれない)
現在は、ソフトバンク、ソフトウェアジャパンが大手だったが、ライブドアも流通に手を出したようだ。
※そういう意味でもライブドアは何においても2番煎じの感は強い。
オンデマンドで個人の写真集を作る、というサービスも成り立っているし注文ごとにオンデマンドで印刷するという仕組みにすれば余剰の在庫も無くて済むのではないかと思う。
昨今は無駄に凝った帯、箔押し等があるので難しいかもしれないが、昔の岩波本のようなスタイルであれば、良質なコンテンツで、無駄にゴミを作らず、流通も無駄に通らず、安価に提供できるような気がしないでもない。
しかも、データをきっちり保管さえしておけば、注文の際に版元で切れている、在庫が無いということもない。
良書を店頭で目にする機会が減るかもしれないが・・・。
画面上で見られる仕組みも出来ているが、ライセンス管理でダウンロード後1週間しか見られない、そもそもが画面をじっと見ているのは疲れるというような問題があるので、紙ベースが終わるとは考えにくい。
お金が無い子供の頃は古本屋はとても良いものだった。
中古流通は必要だが、製作者の権利をなんらかの形で保護する仕組みは必要だろう。
さらには流通も改革がなされるべき。 勇気凛々(高杉良著)のように、流通破壊をする経営者が出てくれるか、制度を改革するか...。
尚、本の定価販売と同様タバコもタバコ法で定価販売が義務づけられている。
公社から民営に移ったはずだが、販売側は定価販売を守らねばならない仕組み(法)はそのままだ。
それを見るに、郵政民営化が叫ばれているが、結局は保護がされたままで従来と何も変わらないのではなかろうか・・・。
塩は改革がされたが、他はそのまま、というようなことと同じになりそうな予感がしないでもない。
...と、とりとめがなくなってきたようなのでこの辺りで。
昔にも似たようなこと書いた気がしないでもないが、カテゴリ分けしてないためみあたらなかった..。
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